歯周病治療の治療手順をご存知ですか?画像を使ってわかりやすく説明しました。

誰もが気になる歯周病。テレビコマーシャルや雑誌でも歯周病関連の商品を目にすることは多いと思います。
しかし、その歯周病についての正しい知識はあまり知られていないようです。
歯周病の正体とはいったいどんなものなのでしょうか・・?
歯周病の治療とはどんなものなのでしょうか・・?
ここでは、そんな疑問に症例画像を差し込みながらお答えします。

歯周病(歯槽膿漏)の正体

かつては、歯周病は歯槽膿漏と言われていました。
現在、歯周病とは歯の周囲の組織である歯肉や歯根膜、歯槽骨などに炎症が起きている病気の総称です。
炎症が歯肉に限局している状態を『歯肉炎』、炎症が歯根膜や歯槽骨にまで広がっている状態を『歯周炎』と言いいます。

歯周病の特徴

痛みが発生しにくく、ゆっくり進行していきます。
痛みがあったり腫れたりして歯科医院に来院した時には、歯を支えている歯槽骨が吸収して歯がグラグラして食べ物が噛めなくなります。
歯周病は全身の病気と密接していることが明らかになっていますので、当医院では大学病院と医療連携して解決します。

歯周病の原因

歯垢(プラーク)

歯垢は多数の種類の細菌が集まって、塊(かたまり)になったものです。
歯周組織の中に毒素を出して炎症を起こしていきます。

歯石

歯垢(プラーク)を放置しすぎると、唾液中のカルシウムなどと沈着して歯石になります。
歯周組織がさらに炎症を起こす原因になります。

歯並び

歯並びが悪いとブラッシングが難しくなり、歯垢や歯石が付着しやすくなるため、炎症が起きやすくなります。

歯に力が異常にかかる場合

噛む力が一部の歯だけに大きくかかっている場合、歯周組織に負担がかかり歯周病が悪化しやすくなります。

喫煙

タバコの成分にあるニコチンやタールなどの化学物質は、口腔内の血液循環障害を起こし、歯肉の腫脹や発赤などの炎症状態を起こしやすくなります。

口呼吸

口腔乾燥によって唾液が少ないと、口腔内の細菌が増えて歯周組織に炎症を起こします。

遺伝

遺伝子のちがいで、歯周病になりやすい人があることがわかってきています。

歯周病の進行状況

ステージ0 健康な歯茎

歯肉の色がピンク色
歯肉が引き締まっている状態
歯周ポケット1~2mm

ステージ1 歯周炎

歯肉の色がやや赤色
歯肉がやや腫れている
歯肉を押すと出血する
歯周ポケット3m

ステージ2 歯周炎

歯肉の色が赤色
歯肉を押すと出血する
歯肉が下がる
歯がしみる
口臭がする
歯が動く
歯噛むと痛い

歯周病の自覚症状

1.口臭がある
2.歯と歯の間に食べ物が詰まりやすい
3.口の中がネバネバする
4.歯肉が腫れる
5.歯肉を押すと出血する
6.歯が浮いた感じがする
7.歯がグラグラする
8.冷えたものや熱いものがしみる
9.歯肉がむず痒い時がある
10.歯をブラッシング(歯みがき)すると出血する
11.歯と歯の間に隙間が出てきた
12.噛むと歯が痛い
13.歯並びが悪くなってきた
14.ブラッシングすると歯が痛い
15.体調によって歯茎が痛んだり腫れたりする
16.歯が長くなってきた気がする
17.食べカスが詰まりやすい

歯周病と全身の関わり合い

歯周病は口腔内だけの病気と考えがちですが、歯周病は全身との関連があります。
現在は、健康を考える上で歯周病が重要になってきています。

誤嚥性肺炎

誤嚥性肺炎とは異物を間違って気管や肺に飲み込んでしまい、それと伴って細菌が入り込むことにより発症します。
高齢者に多く見られます。

糖尿病

歯周病菌が血液中に入り込み、インスリン機能の反応を障害して血糖コントロールできない状態になります。

骨粗鬆症

全身の骨密度が低下し、全身の骨がもろくなって骨折しやすい状態になる病気です。
全身の骨がもろくなるともに、歯周病があると歯を支える歯槽骨の吸収も加速して、歯槽骨も、もろくなります。

心臓・血管疾患

歯周病菌が血液中に入り込んで血管壁の細胞に炎症を起こすことがあります。
特に病名は
・感染性心内膜炎
・虚血性心疾患
・脳梗塞(脳卒中)
・心筋梗塞

歯周病に与える薬剤

高血圧症治療薬のカルシウム製剤、てんかん治療薬などは長期服用で歯肉増殖をおこします。

メタボリックシンドローム

歯周病菌が血液中に入り込み、インスリン機能を傷害させて血糖値が上昇するといわれています。

特定の薬剤を長期服用中の方

高血圧や自己免疫疾患の治療で薬を投与されている方は、歯肉が腫脹、発赤することがあります。

疲労・ストレス・不規則な生活

疲労やストレスが溜まると免疫力が低下して細菌が歯周組織に繁殖し、炎症を起こして歯周病なりやすくなります。

間食

口腔内の細菌が糖分を栄養として常に歯垢を産出しますので、炎症を起こし歯周病になりやすくなります。

噛まずに急いで食べる

急いで食べると、口腔内の唾液が分泌されずに細菌や汚れが流されません。
流されない細菌が付着し、炎症を起こしやすくなります。

歯周病の治し方

問診

問診票をチェックして、現在の状況を内科的疾患や生活習慣などの様々な背景をもとに診断します。

歯周病検査

歯周組織検査

プラークの付着の有無、歯肉の健康状態、歯周ポケットの深さ、歯の動揺度などをチェックします。
最新のデジタルレントゲンを使用して、歯槽骨の状態もチェックします。

口腔内カラー写真

現在の口の中の状態を写真撮影し、患者様とともに状況を共有します。

位相差顕微鏡

特殊な加工がしてある顕微鏡でチェックします。
歯周病の有無やどのような歯周病菌がいるかなど、歯周病菌の様子を見てプラークコントロールのモチベーションを上げてください。

口腔内清掃状態

ブラッシングでどのくらい磨けているをプラークチェッカーを使って確認していきます。

歯肉の炎症状態

歯と歯肉の間の歯周ポケットの深さや出血の有無などをチェックして、歯肉の炎症状態を確認します。

デジタルレントゲン

デジタルレントゲンは、1本1本の歯の状態や歯を支える歯槽骨の状態を詳細にチェックできます。
前歯・奥歯の咬合状態と顎関節の関係も見ることができます。

唾液検査

唾液の主な働きは抗菌作用や消化作用、粘膜保護作用があります。
それらの作用が、虫歯菌や歯周病菌から口の中を守っています。
唾液検査を行うことで、歯周病のリスク判定を行います。

歯石プラーク除去

img_perio2歯周病の治療では歯肉を健康な状態に整えて歯周病菌の数を減らすための歯石やプラークの除去を行います。
また、マッサージやブラッシング指導も行います。 歯周病は、silent Disease(サイレント・ディジーズ)とも呼ばれ、自覚症状がないまま徐々に、しかも確実に進行していく口腔内の細菌感染症です。
口臭の原因ともなりますので注意が必要です。

プラークコントロール

虫歯や歯周病の原因となる細菌をブラッシングで取り除くことが重要です。
自分自身で口の中を管理できるようにチェックしていきましょう。

PMTC

医師や衛生士などの専門家が、プラークや歯石などをきれいに取り除く機械的歯面清掃です。
特殊な器具とクリームを使用して、歯を削らず傷つけずにステインやプラークを除去します。

ステイン除去画像①

ステイン除去前の状態

ステインが徐々に除去されています

ステインが除去されてきました

ステイン除去しました

ステイン除去画像②

歯垢除去開始

だいぶ除去されてきました

歯垢除去しました

歯石除去(スケーリング)

歯石はプラークが固まったもので、その中の細菌が毒素を放出して歯肉に炎症を起こし歯周病になりやすくなります。
特殊な器具を使用して、歯を削らず歯石を除去します。
歯石除去前の状態

歯石除去中

だいぶ歯石を除去できてきました

歯石除去完了!

ルートプレーニング

歯石を除去した後、再度歯石を沈着しにくくするため、歯の表面を滑択していきます。

歯周病治療薬(歯周病塗り薬)を使用

歯周病治療薬は、歯周病に対して強い抗菌作用を示します。
患部(特に歯周ポケット)に薬を注入すると、歯周炎に対して効果を発揮します。
当医院では、この歯周病治療薬は保険診療です。

大学病院の歯周病科と連携

先進医療をしている大学病院と連携をして、手術やレーザー治療などの高度な治療を包括的にチームとして治療を行います。

再評価

再度、歯周組織検査を行いプラークの有無や歯肉の健康状態、歯周ポケットの深さ、歯の動揺度をチェックします。

メンテナンス

歯周病は再発しやすいため、口腔内の健康、強いては全身の健康を維持するため定期検診を行い定期的にクリーニングしていきましょう。

歯周病の予防

ホームケア

歯みがき(ブラッシング)による口腔内の清掃を行い、歯周病の原因である歯垢を除去しましょう。
ブラッシングと併用してデンタルフロスや歯間ブラシ、デンタルリンスなどを使用して
プラークコントロールをしましょう。

オフィスケア

歯石やステインなどによる口腔内ケアは、歯科医院にて清掃してもらいましょう。

歯石とステインの除去画像

歯石・ステイン除去前の状態

少し歯石を除去できました

歯肉が見えてきました

完全除去までもう少しです

だいぶきれいになりました

ステインを除去します

歯石とステインを完全に除去しました

生活習慣

タバコ、ストレス、疲労、夜更かしに気をつけましょう。
全身状態も関係が深いので、健康で丈夫な体をつくりが重要です。
また、栄養バランスのとれた健康的な食事をとりましょう。

口腔内の変化

口腔内は常に変化します。
いつも自分の口腔内をチェックする習慣を身につけましょう。

<※予約時のご注意点>
大変恐れいりますが、歯石やステイン除去などの歯のクリーニングは治療時間が多く必要となるケースもあるため、ご予約はお電話のみとさせていただいております。

歯のクリーニングをご希望の方はお手数ですが、ネット予約ではなくお電話をいただけますでしょうか。
電話口で歯のクリーニング希望の旨をスタッフに必ずお伝えいただければ幸いです。

ご理解とご協力をお願い申し上げます。

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